けるんエンタメ公会堂

ライブ、観劇、映画、テレビなどエンタメを中心とした雑記です。

【演劇】「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ 」メチャクチャ楽しい!レキシーランド

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愛のレキシアター「 ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」を観るために
TBS赤坂ACTシアターに行ってきました。

日本の歴史をテーマにした楽曲を
リリースしているミュージシャン「レキシ」。
この公演は彼の楽曲を使用したミュージカルです。

ちなみに、アフロヘアーがトレードマークの中の人?の
池田貴史さんは、俳優としても活躍(※「99.9 刑事専門弁護士」小料理屋いとこんちの店主など)していますが、舞台には出演していません。

あらすじ 

35歳になってもニートの織田こきんは、母親・胡蝶と二人暮らし。

25年間、家から一歩も出ず、ちょっとしたことで母親にきつくあたる毎日だ。

こじれた現状を打破すべく、今日も胡蝶から依頼された

引きこもりサポートネットの明智が訪ねて来るが、

こきんはネット上で出会った理想の女性、

ネット民騒然の大人気歴女ブロガー、カオリコに夢中。

カオリコの気を引くために“ヨシツネ”というハンドルネームを使い、

カオリコ好みの偽プロフィールをでっち上げていた。

一方、こきんを心配する胡蝶と明智も、互いに複雑な思いを抱いていた。

胡蝶の別れた夫・将軍と明智には、何やら因縁があるらしい。

そんなこじれた3人の前に突如現れたのは、

夢の国レキシーランドの総支配人ウォルト・レキシーと、

くの一さん、腰元さんといった個性豊かなキャストたち。

こきんたち、そしてカオリコは、日本の歴史を楽しみながら

“愛の始まり”に辿り着く夢のテーマパーク、

レキシーランドに、いつの間にか迷い込む。

そこにはなぜか将軍と、こきんが捏造したヨシツネの姿もあった……。

 

(C)TBS「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」公式パンフレットより

 

主なキャスト

山本耕史   織田こきん

松岡茉優   カオリコ

佐藤流司   源ヨシツネ

高田聖子   織田胡蝶

井上小百合  くノ一さん

前田悟    代役侍

浦嶋りんこ  腰元さん

山本亨    将軍

藤井隆    明智

八嶋智人   ウォルト・レキシー

 

ジュークボックス・ミュージカル

ミュージカルには「ジュークボックス・ミュージカル」
というジャンルがあります。
細かい定義は分かりませんが、
ミュージカル用に書かれた楽曲ではなく、
既存の楽曲でミュージカルを構築するということでしょうか。

「愛のレキシアター」も
「ジュークボックス・ミュージカル」であると言えます。

昔からあるジャンルだと思いますが、
アバの「マンマ・ミーア!」が大ヒットしたことにより、
プチブームになって数多くの作品が作られました。


「マンマ・ミーア!」は2008年に映画化もされ、こちらも大ヒットしました。


マンマ・ミーア! ブルーレイ 1&2セット(英語歌詞字幕付き) [Blu-ray]

 

「ジュークボックス・ミュージカル」には
大きく分けると2つの傾向があります。
芝居のストーリー重視で
音楽が組み入れられているモノと、
楽曲の世界観からストーリーを構築しているモノ。

前者はミュージシャンの伝記的な
ミュージカルなどでよく目にする形です。

そして、後者はそもそも楽曲同士の
関連性が無いもので世界観を作ったり、
ヒット曲を無理に組み入れたりする為、
トンデモ展開になりがちです。

その点、この「愛のレキシアター」は世界観の構築が秀逸です。

ようこそ!レキシーランドへ

レキシは「日本の歴史」のみをテーマにしているので、
世界観の構築という点では有利ですが、
歌っている「時代」は多岐にわたります。

河原氏の演出が素晴らしいのは、
レキシーランドというアミューズメントパーク設定に
したことではないでしょうか⁉

これなら、時代に関係なく様々な楽曲を使えるし、
各時代のアトラクションを巡っていると思えば、
トンデモ展開も気になりません。

こんな風に書くと、
おもしろアトラクションを楽しむだけの舞台のようですが、
それは違います。
一見、ハチャメチャに見える展開も伏線だったり、
緻密な構成で主人公を含む人々の
愛の成長ストーリーになっています。

私はレキシの楽曲について
ヒット曲プラス数曲程度の知識ですが、
曲とシーンのマッチング、
そしてそのシーンが全体の流れに
上手くハメられていると感心しました。

芸達者な人々の競演

「愛のレキシアター」を観に行って最初に思ったのは、
キャスティングが見事だということ。
そして、その面々が器用というか、
達者な人が多いなと感じました。

主役の織田こきんを演じる山本耕史さんは
器用なオールラウンダー。

映画やテレビであまり披露される機会はありませんが、
歌が上手で歌声も良い。
ダンスも踊れるし、殺陣も出来るし、
ギターも弾けるメチャクチャ器用な俳優です。 

今回は25年間引きこもっていた役なので、
猫背のへなちょこ殺陣しか見られないと思っていたら、
ナント!土方歳三も降臨しました。

八嶋智人さんは、
ストーリーテラーとして回しながらも良いツッコミだし、
ヒロインの松岡茉優さんも器用な女優だし、
藤井隆さんや高田聖子さんも…。

とにかくこういうコメディ要素たっぷりな舞台には心強い布陣でした。

また、ほとんどの皆さんが“歌うま”でした。
(※各々見せ場があります)

さいごに

レキシの楽曲を知らなくても楽しめます。
楽曲を知ってたら更に楽しめます。

アンサンブルの人々の熱気が伝わりました。
(※いろいろ転換が大変そう)

最後に稲穂が振れます。

あ~楽しかった!

【演劇】朗読劇「ヴォイサリオン・Mr.Prisoner」上川隆也×林原めぐみ×山寺宏一 プロの技にヤラレました!

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シアタークリエで開催されている
「VOICARION Ⅳ~ヴォイサリオン Mr.Prisoner」に行ってきました。

「いや~、今まで朗読劇をナメてました。申し訳ございません。」
そんな言葉を言いたくなるほどヤラレました。

朗読と朗読劇の違い

過去に舞台で行われる朗読を観に行ったことはあります。

俳優さんが行っているモノから、
アナウンサーやナレーターなど声の仕事をしている人のモノまで。

それなりに良かった記憶もあるんですが、
やはりエンタメとしては演劇を観に行く方が…
なんて思ってました。

今回の舞台を観て分かりました。
今まで私が観ていたのは「朗読」であって、
「朗読劇」では無かったんだと。

あらすじ

19世紀 英国

ロンドン塔(Tower of London)地下3階には

光を通さない分厚い鉄扉の独居房があった

そこには一人の囚人が幽閉されていて

囚人の周囲には、不思議な指示が出されていたという・・・

“牢屋番は耳の不自由なものにせよ”

囚人番号252号・・・

彼は「絶対に声を聞いてはならない囚人」と呼ばれていた・・・

(C)Toho Co., Ltd. 公式サイトより

 

キャスト

上川隆也
チャールズ・ディケンズ/クライヴ・ヘイティングス卿

林原めぐみ
レス

山寺宏一
囚人252号(エドワード・ホークウッド伯爵)ほか9役

 

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 開場時間にシアタークリエのホワイエに入ると、
たくさんのお客さんであふれています。
思っていたより男性が多い印象。

小腹が空いていたので、
東宝系の劇場ではポピュラーな
「天のや」のたまごサンドを購入します。

「天のや」のたまごサンドは
だし巻き玉子を挟んだスタイル。
私は関西出身なんで、
このタイプのたまごサンドを食べると
懐かしい気持ちになれます。

商品紹介 | 天のや 玉子サンド|テイクアウト専門店

今回の席はサイドながら前方列。
上川さんの立ち位置の前あたりです。

席に着いて私が思ったのは、
「この席、プレッシャーだなあ…、
絶対に寝ないようにしないと…。」でした。

そう、この時点ではまだ「朗読劇」ということで、
そんな心配をしていました。

物語は上川さん演じる作家・チャールズ・ディケンズが、
“絶対に声を聞いてはならない囚人”の話を聞くために、
林原さん演じるレスを訪ねるところから始まります。

訪ねると言っても、
朗読劇ですから林原さんが上手、
上川さんが下手で板付き。
照明の有無でシーンの示唆をするようになっています。

上川さんと林原さんの掛け合いが始まります。
上川さんはさすが俳優というか、
もう全身を使って芝居をしている感じがよく分かります。

上川さんの前なので顔がよく見えますが、
目線の動きなどもセリフに合わせて動かし表情を作っています。

林原さんは逆サイドなので表情は分かりませんが、
聞こえてくる声から大人の女性で、
淡々と受け答えをしているが冷淡ではなく
聡明な女性を演じているという印象を受けます。

そんな2人のやり取りが約15分続きました。

と、ここで気が付きました。
山寺さん15分間微動だにせず。

舞台上でひときわ高い位置に板付いている山寺さんは、
オープニングの2人の芝居を邪魔しないようとじっとしていました。

囚人252号の声は?

開始から約15分経って、
いよいよロンドン塔の地下監獄に幽閉された囚人252号の登場。

「絶対に声を聞いてはならない囚人」とは
一体どんな人物なのか?

ミステリー好きにはたまらない設定です。

囚人252号の声は山寺ボイスのイケボでした。
山寺さんは囚人を始め、
その他9役を様々な声で演じ分けるんだとか。

まず、囚人252号は牢獄番の老人が死んで、
扉の向こうにいるのが孫のレスだと分かり、
老人の声色を使ってレスを翻弄します。

「絶対に声を聞いてはならない囚人」とは
レインボーボイスで人々を騙す囚人で、
彼の犯罪譚がいろいろと語られる舞台。

この時点ではそんな展開を予想していました。

囚人と少女の心の交流

囚人252号と対峙するレスは、
13歳の少女の設定です。

この少女・レスを演じる林原さんにヤラレました。
「綾波レイ」や「灰原哀」を彷彿させる
無感情っぽいけど心の機微が感じ取れる少女、
囚人と親密度が増して見せる表情など…。

プロフェッショナルの神髄を
見せてもらったような気がします。

物語は囚人252号ことエドワード・ホークウッド伯爵が、
人生に有意義な勉強をレスに教えるという形で進みます。

この物語の核は、囚人と少女の心の交流でした。

山寺・林原両氏の掛け合いにどんどん惹き込まれます。

上川隆也という俳優

テレビや映画でとぼけた刑事役などを
演じることもある上川さん。

が、上川さんのイメージ言えば、
やはり「実直」や「真面目」という感じでしょうか?

ですから、彼の演じるディケンズは
とっても誠実な印象を受けます。

一方、クライヴ・ヘイティングス卿は
本作では悪役ポジションですが、
親友の死に責任を感じて、
真実を追求する役人です。

レスに対して意地悪なセリフもありますが、
そこまで悪い人という感じはしません。
(※最後は良い人でした。)

両役とも、上川さんの持つ雰囲気が
役柄にフィットしていました。

また、私は上川さんのすぐ前に座っていたので見ちゃいました。

山寺・林原両氏の素晴らしい掛け合いのあと、
暗転のなかスタンバイする上川さんが
そっと目尻を拭う様子を…。

アニメ好きの同志として、
ますます上川さんが好きになりました。

原作と音楽

Mr.Prisonerの舞台はイギリスのロンドン塔です。

私はイギリスには古典として、
こういう物語があるんだなと思って観ていました。
ところが、帰宅してパンフレットを見ると、
原作・脚本共に演出の藤沢文翁氏の名前が書いてあります。

正直驚きました。
ロンドン塔の不気味なイメージや空気感みたいなモノが、
あまりにもストレートに伝わってくるので、
日本人の創作だとは思っていませんでしたから。

音楽も良かったです。
シーンのイメージを増幅する旋律が演奏され、
より想像力豊かに観ることが出来ました。

先生(囚人)と少女の別れのシーン。
山寺さんと林原さんの掛け合いはもちろん、
演奏されていた曲が良かったです。

さいごに

とにかく、朗読劇でこんなに感情が揺さぶられるんだなと思いました。

いやむしろ「朗読劇だからこそ!」かも知れません。

演出制作の皆さん、演者の皆さんに脱帽です。

 

2020年2月。次回のヴォイサリオンⅤの上演が決定しています。

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 今度は、宮野真守氏。これチケットが取れなくなるフラグ?!

 

 

【演劇】舞台「山犬」劇団鹿殺し×AKB48×コンドルズ 異色コラボのホラーミステリー

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劇団鹿殺し。
随分と物騒な名前の劇団名です。
そんな「鹿殺し」の舞台「山犬」を観るために
サンシャイン劇場に行ってきました。

ちなみに、「劇団鹿殺し」は
名称から受ける過激なイメージの舞台ではなく、
歌あり踊りありのエンタメ性の高い劇団です。

今回の「山犬」はホラーミステリー。
初演、再演とブラッシュアップされてきた本作は、
男女の設定を入れ替え更に進化した作品になっているとのことです。

あらすじ

「私たちが埋めたタイムカプセルを一緒に掘りに行きませんか?

 ハマダマコト」

同窓会の前日に届いた一通の手紙。

しかし、誰もその名前に記憶がない。

10年ぶりに再会した元コーラス部の生徒たちと先生は、

手紙に導かれてタイムカプセルを掘るため、学校の裏山へと向かう。

タイムカプセルの中には、骨とハマダマコトの名札が入っていた。

その時、何者かに襲われて山小屋に監禁されてしまう。

そして、始まる記憶探しのサバイバルゲーム。

「シヌキデオモイダセ」 誰かが過去を思い出す度、配給される食糧……

果たして彼女たちは解放されるのか、

それとも恐怖と空腹に支配されてしまうのか。

(C)オフィス鹿 ネルケプランニング 公演チラシより

主なキャスト

岩立沙穂(AKB48)

太田奈緒(AKB48)

谷口めぐ(AKB48)

オレノグラフィティ(劇団鹿殺し)

山本光二郎(コンドルズ)

丸尾丸一郎(劇団鹿殺し)

初日のサンシャイン劇場

ミステリー要素もあるということで、
情報をできるだけ遮断して
サンシャイン劇場に向かいました。

ロビー開場の時間に入場すると、
オッサン率メガネ率高め。
これならオタク中年の私も、
シアタークリエなどと違い、
すっと風景に溶け込めます。

AKB48のことは殆んど分かりませんが、
「久しぶり!」と声を掛ければ、誰かに間違われ
そのまま世間話に発展しそうな雰囲気さえ感じます。

 

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舞台公演にしてはグッズの種類が多めです。
オタク需要があるからでしょうか?
とりあえず、パンフレットを購入。

40分ほど待って客席へ。
座席はセンター通路よりやや後方。
傾斜があるので前の人も気にならず、
ステージ全体が見渡せます。

 

↓以下、思いっきりネタバレです。

 

開演時間の午後7時になりました。
約20年前CMで話題になったゲーム「ピクミン」の愛の歌が流れます。

「引っこ抜かれて、あなただけについて行く。
 今日も運ぶ、戦う、増える、そして食べられる。」

切ないメロディーと怖い歌詞は、
これから始まる舞台の怖さを引き立てます。

続いて、不気味な効果音と照明の中、
キャストたちが犬の演技で現れます。
四つんばいで争う犬たち。
そんなことはないと思いますが、
このままセリフも無くシュールな舞台が続いたらどうしよう?
なんて変な心配もしました。

場面変わって、オレノグラフィティ演じる服部先生のシーン。
横川高校の元教師でコーラス部の元顧問。
10年前交通事故に遭い、教師をやめる。
「ハマダマコト」からの手紙で同窓会に参加するために帰郷。
というミステリーの王道チックな展開で本編が始まります。

その後、「ハマダマコト」と思しき人物に嵌められ、
服部先生と元コーラス部の生徒2人が監禁されるという
シンプルなストーリーなんですが、
色々と気になるポイント(謎)が!

山犬の存在

山本光二郎演じる山犬は、見事に犬です。
心の声はナレーションで流れますが、
セリフは殆んどありません。
最初は「ハマダマコト」のメタファーとして
山犬が存在していると思っていました。

ところが、物語の中盤で岩立沙穂演じる
「ハマダマコト」が登場します。
山犬はハマダマコトに命を助けられ、
子分(忠犬)になります。

ただ、ここで更なる疑問が!
「ハマダマコトは人間なのか?犬なのか?」

演出の妙にまんまとハマっている私でした。

AKB48の女優3人

演技という面では発展途上だと思いますが、
3人とも熱演でした。

谷口めぐは、キャバクラ嬢で元コーラス部の部長。
服部先生のことが好き。

初日の緊張があったのでしょうか?
セリフ量も結構あるので、
間違えないようにとの思いから、
セリフが早口過ぎて少し聞き取りにくかったです。
後半は落ち着きを取り戻して良くなりました。

太田奈緒は、居酒屋のバイトリーダー。
表面化していなかったのですが、
谷口演じる部長の直子を恨んでいた。

彼女は3人の中で、いちばん落ち着いて
芝居をしていたように見えました。
監禁後の内面をさらけ出す芝居や、
狂気の演技は特に良かったです。

岩立沙穂は、物語のキーマン「ハマダマコト」。

不気味さよりキュートさが勝っている感じの演技。
ソロ曲を歌っての自虐セリフがツボでした。

その他、台車カゴを使ったセット演出や、
不快で耳障りな効果音も世界観の構築として良かったです。

ミステリー好きの???

以下、あえての苦言やミステリーとしての疑問です。

  • ハマダマコトが山犬を助けるシーンで、
    コックをボコボコにしているのに、
    その後、食堂の裏でカレーをもらうシーンはおかしいのでは?
    コックが変装している。
    または、背後から一発殴る位であれば、
    「同一人物と認識していない」と言われても理解できますが。
  • ハマダマコトの双子・黒幕設定は無くても良かったのでは?
    採用するのであれば、扱いが中途半端。
    最後に「祝福」の合唱で終わるのならば、
    観客はTVドラマみたいな納得感や整合性を求めていない気がします。
  • 監禁劇らしさが薄かったです。
    過去シーンとカットバックするので仕方ないと思いますが、
    監禁されてから狂気に変わるまでが急でした。

さいごに

山犬はホラーミステリーですが、
考えさせられるシーンもたくさんあります。

高校時代のことを思い出したり、
人間関係や本質について考えたり、
ペットのことを考えたりと…。
私にとっては、そんなキッカケを与えてくれる舞台でした。

現公演は3月10日まで。
再演があったら、さらに進化した「山犬」を観たいと思います。

【演劇】舞台 機動戦士ガンダムOO 破壊による再生 Re:Build

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今年、TVシリーズ放送開始40周年を迎える「機動戦士ガンダム」。
それを記念して行われるプロジェクトのひとつとして
企画された舞台版のガンダム。
選ばれた演目は、ガンダム00(ダブルオー)です。

昨年、舞台化が発表されてから、めちゃくちゃ楽しみにしていました。
というのも、ファーストガンダム世代の私が、
久々に連続視聴してハマったガンダムだからです。

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東京公演の会場は日本青年館。座席数は約1250席です。
開場30分前には入場口に長蛇の列、
少し待って列が動き出した頃に入場します。

パンフレットを買う為にグッズ販売列に並びますが、
15分ほど並んだところでパンフレット売り切れのアナウンス。
他に買いたい物が無かったので、列から離脱します。
ちなみにトートバッグは、私が入場したタイミングで、既に売り切れでした。

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 今回の座席は、2階の前方列。
ステージをかなりの角度で見下ろす感じになりますが、
距離は思ったより近い感じです。

会場を見渡すと9割以上のお客さんが女性。
ま、ダブルオーはガンダムの中でも女性人気が高い作品だし、
今回の舞台も2.5次元舞台の王道って感じですからね。
個人的にはもう少し男性客が観にくるんじゃないかな?
と思っていました。

あらすじ

西暦2307年。
化石燃料の枯渇によってエネルギー危機を迎えた人類は、
それに代わる新たなエネルギー源として、宇宙空間での太陽光発電を実用化し、
軌道エレベーターを使って地上に供給するシステムを稼働させていた。
しかし、莫大な建設費がかかるこのシステムの恩恵を受けていたのは、
超大国群の『ユニオン』、『AEU』、『人類革新連盟』の三大国家群だけであった。
三大国家群は直接的な衝突こそ起こさないものの軍事開発競争による冷戦状態を継続。
一方、そこに属さない小国は貧困によって苦しめられ、紛争や内戦を繰り返していた。
そんな終わりのない戦いが続く世界に、
“武力による戦争の根絶”を掲げる私設武装組織「ソレスタルビーイング」が現れる。

彼らはモビルスーツ「ガンダム」を用い、
全ての戦争行為に対して武力介入を開始するのだった・・・。

(C)創通・サンライズ 公式チラシより

 

主なキャスト

 刹那・F・セイエイ    橋本祥平

 ロックオン・ストラトス 伊万里有

 アレルヤ・ハプティズム 鮎川太陽

 ティエリア・アーデ   永田聖一郎

 

期待感高まるオープニング!

ラルク・アン・シエルのOPテーマ「DAYBREAK'S BELL」が流れ、
ガンダム00のタイトルロゴがステージに映し出されます。
懐かしい~!やっぱりこの曲が、ダブルオーの楽曲として印象的です。

そのまま曲にのせてキャスト紹介。
舞台に合わせて、物語がコンパクトになっているとは言え、
群像劇ですからね~ガンダムは。
キャストの皆さんの立ち姿も決まっていて、期待が高まるオープニングです。

ガンダムの舞台化と聞いた時に、誰もが思ったであろうこと・・・、
即ちガンダムはどんな形で表現されるのか?
私もその点がいちばん気になっていました。

え~と・・・、言っちゃいます。「ガンダムは出ません!」

メチャクチャ楽しいガンダムごっこ!

漫画、アニメ、ゲームなどを原作とする舞台として、
一定の市民権を得た2.5次元舞台。
特徴はいろいろあると思いますが、比較的小規模~中規模劇場で行われ、
そんなに美術セットにお金が掛かっていないということが挙げられます。
だから、美術セットの造りこまれた舞台よりも、
さらに原作の記憶に基づいた想像力を駆使して観ることが必要となります。

2.5次元舞台のエポックメーキング的作品として挙げられる「弱虫ペダル」。
私は「弱虫ペダル」を観た時、ぶっ飛びました。

自転車レースの物語なのに、自転車が出てきません。
演者は自転車のハンドルだけを持って、足踏みしたり走り回ったりします。

正直、最初は「え?」と思いましたが、
私は原作コミックを読み込んでいましたので、だんだんと引き込まれました。
むしろ、観賞後はこの演出の方が、
スピード感や演者の自由度が感じられると思いました。

さて、今回の舞台のガンダム。
私はこんな想像をしていました。

演者はコックピットのようなセットにいて、
スクリーンにプロジェクションマッピングなどを使ってガンダムを投影。
戦闘シーンはそんな演出じゃないかと…。

なぜなら、自転車レースやテニス、バレーなどの試合は、
原作を知らない人でも何となく想像できますが、
ガンダムの世界観やモビルスーツの対戦は
イメージしにくいのではないか?と思っていました。

3割ぐらい当たりました。
演者はコックピットのような所に座っています。

ライブの時にアーティストが、
アリーナを練り歩くゴンドラって分かりますか?
その上に人間1人が座れる椅子を固定して、
コックピットになっています。
ガンダムマイスターたちはそこに座って、
セリフを言ったり演技をするわけです。

で、ガンダムがどう表現されているかというと、
そのコックピットごとステージ上を縦横無尽に動くんです、人力で。
ひとつのコックピットを2人一組で動かしているようです。

これが凄かった。スピード感があるんです。
動かす速さだけでなく、ターンするクイックな動きも。

だから、戦闘シーンではマイスター自らが、
ビームサーベルなどの武器を持って戦い、
その時はコックピットゴンドラ自体が、
ガンダムなどのMSに見立てられています。

対峙して戦う時は、正面からぶつかったり、
結構なスピードですれ違ったりと、
なかなかの迫力があります。

「コレ、動きの稽古がいちばん大変だったろうな…。」と思えるくらいでした。

また、高さや奥行きを出すためステージ奥の上段には、
一人で操作するコックピットが出現することもあります。

そっちの方は、「ひじ掛け付きキャスター椅子」そのまんまでした。
しかし、世界観に没頭していると、メチャクチャ楽しそうに見えます。

もし私が小学生なら絶対に学校で真似をして、
ガンダムごっこをしたであろうと断言できます。

アニメを復習してから観たい!

ガンダムを出さずに戦闘シーンを構築し、
世界観を作っている今回の舞台ですが、
やはり「初見殺し」です。
数は少ないと思いますが、友達に誘われて来た人や付き添いで来た人など、
原作アニメを知らない人は高確率で置いてけぼりです。

例えば、戦闘シーンに入る前に空から降下してくるシーンなどは
表現することができないので、
アニメのシーンを思い出して補完しながら観るという作業が必要です。

また、ダブルオーはアニメ自体も物語が複雑なので、
キャラクターたちの立ち位置や思いが、
原作を知らないと分かりにくいのではないかと思いました。

さいごに

戦闘シーン多めで、物語のテンポは良かったです。
その分、戦闘と説明以外の部分は大幅にカットされているので、
沙慈・クロスロードなどが出てくるシーンはありません。

キャラクターの再現度も高くて、セリフも原作通りのトーンで良かったです。

ロックオンが絶命するシーンは、結構あっさりめでした。

 


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【演劇】ミュージカル「キューティ・ブロンド」神田沙也加の当たり役!

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神田沙也加主演のミュージカル「キューティ・ブロンド」を、
シアタークリエで見てきました。
2017年の初演はチケットが取れなかったので、今回が初見です。

クリエのエントランスロビーでは、エルの愛犬「ブルーザー」のぬいぐるみと一緒に記念写真を撮影できる壁が。
 

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あらすじ

オシャレが大好きでブロンドが印象的な女子大生エルは、学生寮デルタ・ヌウで友人達と自由に楽しく暮らしている。だがある日、婚約間近だった彼氏のワーナーに突然振られてしまう。その理由は「上院議員を目指す自分の妻としてブロンド娘はふさわしくない」という一方的な決めつけによるもの。納得がいかないエルは、一念発起して猛勉強の末にハーバード大学のロー・スクールに見事合格する。しかし、ブロンドでピンクのファッションに身を包むエルは学内で目立つ存在となり、黒髪の美女ヴィヴィアンをはじめクラスメイト達から批判を浴びてしまう。しかもワーナーはヴィヴィアンと婚約してしまったという。だが、その逆境がエルのやる気に火をつけ、一人前の弁護士を目指して奮闘を始めていく。 尊敬すべき先輩エメットやヘア&ネイリストのポーレットらと知り合い、外見も中身も磨きを掛けたエルは、大学の教授でもあるキャラハンの弁護士事務所でインターン生として働き始める。そこで担当することになったのは、デルタ・ヌウの先輩でもあるブルックに関わる裁判。果たしてエルは彼女の容疑を見事に晴らし、一人前の弁護士になることが出来るのか!?

(C)2019 Toho Co., Ltd.公式サイトより

主なキャスト

神田沙也加 エル・ウッズ

平方元基  エメット・フォレスト

植原卓也  ワーナー・ハンティントンⅢ

樹里咲穂  ポーレット

新田恵海  ヴィヴィアン・ケンジントン

木村花代  ブルック・ウインダム

長谷川初範 キャラハン教授 

映画「キューティ・ブロンド」

ロマコメ(ラブコメ)映画は、昔から割と好きでよく見ていました。
映画「キューティ・ブロンド」が公開された頃は、
日本でもロマコメの洋画がそれなりにスマッシュヒットしていたと記憶しています。

欧米で、ブロンド→バカ女、ブルネット→賢い女という偏見が、
未だに健在なのかは分かりませんが、
この物語はそのステレオタイプの考えに起因しています。

映画のリーズ・ウィザースプーン演じるエル・ウッズを見た時に、
上品で優等生的なブロンド女という感じがしました。
ブロンド女からイメージするビッチな感じが控えめなので、
物語のふり幅がどうかな?と思いましたが、
結果はその頃合いが女性に支持されヒットにつながります。

今回、神田沙也加のエル・ウッズを見て、
彼女の持つ清廉性がこの役にピッタリだと思いました。


キューティ・ブロンド (字幕版)

神田沙也加は才能をより磨いている

シアタークリエはそんなに大きくないので、どの席でも楽しめます。
今回はセンターブロックの前方という良席でした。

アンサンブルの歌う賑やかなナンバーで幕は上がります。
立ち上がりは、PAバランスなのか、アンサンブルの歌唱法なのか、
音がキンキンして歌詞が聴き取りにくい感じです。

しかし、神田沙也加演じるエル・ウッズが登場すると、
歌詞(セリフ)が素直に耳に飛び込んできました。

これは彼女の歌が上手いだけでなく、ミュージカル女優としての才能に、
より磨きをかけているからだと思います。
高音を歌う時に喉を絞りすぎず、自然なファルセットに繋がる歌唱法は
歌詞(セリフ)の聞こえ方が非常に良いです。

とにかく彼女の歌声が素晴らしい。
特に、私は彼女の声質が好きです。
これは若かりし頃、松田聖子さんの歌をよく聴いていたからかも知れませんが…。

コメディエンヌとしての神田沙也加

昨年、「1789バスティーユの恋人たち」(帝国劇場)で、
神田沙也加が演じるオランプを観ました。
マリー・アントワネットに仕える待女の気品ある雰囲気や、
運命の恋に翻弄される芯の強いヒロインも彼女に合っていました。

が、今回「キューティ・ブロンド」を観て、
エル・ウッズこそ神田沙也加の当たり役!だと思いました。

神田沙也加は優等生的な雰囲気を持っているからこそ、
コメディを演じるとその落差がより楽しめます。
彼女のコメディエンヌぶりが光る、
良い脚本に巡り合ったと思います。

そして、上でも言いましたが、
映画のリーズ・ウィザースプーンを超える清廉性。
バニーガール姿がエロくなくてキュートに見えることは、
この舞台では重要だと思います。

Bend and Snap

男性目線でもうひとつ話題を・・・、「かがんでおっぱい」です。
このシーンは、映画でも印象的なシーンでした。
なぜなら、映画はミュージカル映画じゃないのに、
このシーンだけは凄くミュージカルっぽかったからです。

Bend and Snapは、直訳すると「曲げて…伸ばす」ということですが、
映画では、「かがんでパッ!」と訳しています。
(※先ほどDVDで確認しました)
これは、翻訳演出の上田氏の手腕によるところが大きいとは思いますが、
「かがんでおっぱい」という翻訳は見事でした。

大勢で踊りながら合唱する「かがんでおっぱい」というパワーワード。
演出の妙もありますが、ここでもエロよりキュートな感じにまとまっていたのは、
神田座長のキャラクターによるところが大きいのだと思います。

さいごに

神田沙也加さんのことばかり書きましたが、
木村花代さんの身体能力の高さや、新田恵海さんの憎らしい演技など、
他のキャストの皆さんも適役で、とても楽しい舞台になっていました。

楽曲や舞台転換もテンポがあって良かったです。
再々演があったら、また観たいと思いますし、
観る人を選ばない気軽に観られる楽しいミュージカルだと思います。