けるんエンタメ公会堂

ライブ、観劇、映画、テレビなどエンタメを中心とした雑記です。

【映画】グリーンブック 第91回アカデミー賞作品賞 感想レビュー※ネタバレ注意

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第91回アカデミー賞で作品賞を受賞した
「グリーンブック」を見に行ってきました。
日本公開最初の週末とあって、劇場は満員。
上映前、後ろの席のご婦人がアカデミー賞の話をされていました。
作品賞に選ばれても興行的に不発の作品もありますが、
グリーンブックはスマッシュヒット作品になりそうな予感がします。

 

www.kerun7.com

最近の映画のプロモーションを見ると、
やたらと「実話を基に○○」「感動の実話!」など、
「実話」を宣伝文句に使った作品が数多く見受けられます。

以前から「実話」ベースの作品は製作されていましたが、
最近は殊更に「実話」を強調する作品が増えました。

「実話」という言葉は私たちに一つの納得感を与えてくれますが、
「どこまでが実話で、どこまでが演出なの?」と、
ひねくれた私はそんなことばかり気になって、
映画に集中できないこともあります。

グリーンブックも冒頭で「実話を基に~」という
クレジットから映画が始まります。
(※「based on a true story」じゃなくて
「inspired~」という表記だったかもしれません。未確認です。)

あらすじ

時は1962年、ニューヨークの一流ナイトクラブ、コパカバーナで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無学だが、腕っぷしとハッタリで家族や周囲に頼りにされていた。ある日、トニーは、黒人ピアニストの運転手としてスカウトされる。彼の名前はドクター・シャーリー、カーネギーホールを住処とし、ホワイトハウスでも演奏したほどの天才は、なぜか差別の色濃い南部での演奏ツアーを目論んでいた。二人は、〈黒人用旅行ガイド=グリーンブック〉を頼りに、出発するのだが─。

グリーンブックとは…

1936年から1966年までヴィクター・H・グリーンにより毎年出版された黒人が利用可能な施設を記した旅行ガイドブック。ジム・クロウ法の適用が郡や州によって異なる南部で特に重宝された。

© GAGA Corporation 公式サイトより

 主なキャスト

トニー・“リップ”・バレロンガ  ヴィゴ・モーテンセン

ドクター・ドナルド・シャーリー マハーシャラ・アリ

ドロレス・バレロンガ      リンダ・カーデリーニ

白人VS黒人 上流階級VS庶民

グリーンブックの物語はシンプルです。

粗暴でガサツなイタリア系・ブロンクス育ちのトニーが、
一流ピアニストの黒人で上流階級のドクター・シャーリーの運転手として、
1960年代のアメリカ南部を旅するというものです。

映画「グリーンブック」が話題になった時に、
黒人運転手と老婦人の心の交流を描き、
第62回アカデミー賞作品賞を受賞した「ドライビングMissデイジー」との
設定の類似性を指摘されたりもしました。


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が、私はこの映画を観た時に「ドライビングMissデイジー」よりも、
刑務所帰りの主人公が、黒人の高級娼婦に運転手として雇われる
「モナリザ」という映画を思い出しました。
サスペンスなんで全然違う展開なんですけどね。


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1960年代のアメリカ社会を、
日本人である私が100%理解することはできません。
でも、情報が偏っているかもしれませんが、
文章や映像などの過去の記録に触れることで想像することはできます。

映画の前半、黒人作業員が口を付けたグラスを
トニーがゴミ箱に捨てるシーンがあります。
差別と偏見を象徴するシーンですが、
私はトニーの行動も少しわかります。
人の考えは社会(環境)に影響を受けますし、
そこから芽生えた感情はコントロールし難いものですから。

ただ、運転手として採用されたあと、
トニーが割と早めにドクター・シャーリーのことを
受け入れている様子にちょっと違和感がありました。
あんなに嫌っていた黒人を金の為とは言え、
結構フレンドリーな感じです。

グリーンブックの対立構図は、黒人VS白人に
上流階級VS庶民が組み合わされています。
ステレオタイプでは白人が上流階級ですが、
この映画の2人の関係に於いては逆です。

そんな全く違う二人が異文化に触れ、
友情を育むというストーリー。
そこに、1960年代のアメリカ南部の社会情勢が深く関わって…。

う~んなんかね~、トニーがメッチャ良いキャラに描かれているんですよ。
映画としては良い感じの話の運びなんですが、
「実話」と声高に言われると良く描かれ過ぎかな?なんて思います。

ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリ

マハーシャラ・アリは本作で助演男優賞も受賞しました。

2年前の「ムーンライト」に続き2度目の受賞です。


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グリーンブックのマハーシャラ・アリは
結構複雑な役どころであったと思います。
黒人でありながら、黒人文化やコミュニティに疎い
孤独な「はぐれ黒人」を抑えた演技で表現していました。

「ロード・オブ・ザ・リング」をがっつり見た世代にとって、
ヴィゴ・モーテンセンはアラゴルン、王です。
ロン毛でカッコよかった彼が良い感じのおっさんになってました。
グリーンブックでは、粗暴だけど憎めないキャラが自然な感じで良かったです。

ま、この映画は2人のキャラが観客に受け入れられないとダメですからね。

2人の見た目の雰囲気とバランスも良かったです。

妻への手紙が良かった

2人のやり取りのなかでクスッとしたり、
ほっこりしたシーンがたくさんあるグリーンブックですが、
私はトニーが妻への手紙を書くシーンが好きでした。

ドクター・シャーリーが手紙を添削して、
トニーの文章が変化して行く様子は
ロードムービーの縦軸として非常に効果的でした。

後半、トニーが自分の考えた手紙の文章を披露して、
ドクター・シャーリーが褒めるシーンは、
2人の関係性の変化を表す良いシーンだったと思います。

さいごに

人種問題を扱った映画ですが、
観賞後の読了感のようなものは良かったです。

ただ、キレイにまとめられ過ぎているかな~?
だから、なおさらどこまでが実話なの?とも思います。

60年代の物語として描かれたモノが「これは昔話だからね。」
と念押しされているような気が。

同じエピソードを黒人監督が描いたら、
どんな感じになったんでしょうね?

【映画】第91回アカデミー賞授賞式 レディー・ガガは凄かった!WOWOWレビュー

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私がWOWOWを契約している理由の15番目くらいに、
アカデミー賞授賞式の生中継があります。
生中継ならではのグダグダ感やドタバタ感が好きで、
見られる時はリアルタイムで見ています。

ここ数年、アカデミー賞は「白人至上主義」などの批判にさらされ、
様々な変化が起こっています。

開幕前は「過去のLGBT批判による司会者降板」や
「人気映画部門賞創設→批判が多くて見送り」などの
ニュースがありましたが、
果たしてどんな授賞式になるんでしょうか?

オープニングはクイーン

30年ぶりに司会者不在という第91回アカデミー賞授賞式は、
クイーンのナンバー「We Will Rock You」~
「We Are the Champions」で開幕。
ゲストもそれなりにノっていますが、
やはりフレディ・マーキュリーの偉大さを感じてしまいました。
(※アダム・ランバートが悪いわけでない)

最初のプレゼンターは3人の女性。
「サタデー・ナイト・ライブ」などに
出演するコメディ系の人たちとあって、
従来の司会者が言っていたような
ギャグやゲストいじりをかましています。
もう、この人たちに司会させたら?と思いました。

助演女優賞は、レジーナ・キング「ビールストリートの恋人たち」。

アクアマンが発表した、長編ドキュメンタリー賞は、
「フリーソロ」フリークライミングの映画。

メイク・ヘアスタイリング賞は「バイス」。

衣装デザイン賞と美術賞は「ブラックパンサー」でした。

メリッサ・マッカーシーは衣装デザイン賞のプレゼンターとあって、
たくさんのウサギのぬいぐるみを付けた衣装で登場。

美術賞のプレゼンター、
ジェニファー・ロペスは反射しまくりのゴージャス衣装でした。

そのあとの撮影賞では、
作品賞にもノミネートされている
「ROMA/ローマ」のアルフォンソ・キュアロン監督。

ジェニファー・ハドソンが「I’ll Fight」を歌ったあとは、

テニスプレーヤーのセリーナ・ウイリアムズが、
作品賞ノミネートの「アリー スター誕生」を紹介。

視聴率対策の為か、作品賞ノミネート作品は
こんな形で散りばめてダイジェストが紹介されます。

と、この辺りまで見ていて思ったことが、
「プレゼンター多すぎじゃない!捌いてる人は大混乱だろうな?」

音響編集賞と録音賞は、共に「ボヘミアン・ラプソディ」。
原音と新しく作った音の合成、バランスなどはさぞ大変だったと思われます。

「ROMA/ローマ」が快進撃!

外国語映画賞は2部門目受賞の「ROMA/ローマ」。
と、ここで気が付きました。
「ROME」と違って、「ROMA」なんですね。

現在は、ネットフリックス未契約なんで、
この映画未視聴です。
メキシコ映画が、なぜイタリアの都市と関係が?
なんて思っていたら、メキシコの地名なんだとか?
ヨーロッパで認識するロマ(ジプシー)とも関係があるのかもしれませんが?

脱線しましたが、話を授賞式に戻します。

ベッド・ミドラーが歌う「メリー・ポピンズ・リターンズ」の歌。

編集賞は「ボヘミアン・ラプソディ」3部門め。

そして、OO7のテーマが流れ、
ダニエル・グレイグとシャーリーズ・セロンが腕を組んで登場。
あれ?シャーリーズ・セロンが痩せすぎてビジュアルが…!
もう少しふくよかな方が、この人は美人だと思います。

助演男優賞は「グリーンブック」のマハーシャラ・アリ。
2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の受賞。
「グリーンブック」の予告編を見た時は、
この人が主演だと思っていました。

続いてのプレゼンターは、
ジュラシックパークの博士でおなじみのローラ・ダーン。
紹介するのは、LAに建設中のアカデミー映画博物館。
いやいや、ナレーション処理のVTRでいいでしょ、この宣伝は。
でも、完成したら行ってみたいと思います。

続いての長編アニメーション賞は、
日本映画「未来のミライ」もノミネートされていましたが、
受賞したのは「スパイダーマン:スパイダーバース」。

WOWOW(日本)のスタジオに居る
「未来のミライ」の川村元気プロデューサーを
MCの二人が懸命にフォローしていました。

短編アニメ映画賞は「BAO」。

短編ドキュメンタリー賞は「ピリオド 羽ばたく女性たち」。

視覚効果賞は「ファースト・マン」。
アナログ礼賛ではありませんが、
個人的には、CGばかりになっていくのではなく、
特撮文化も残っていって欲しいと思っています。

レディー・ガガはやっぱり凄かった!

そして、今回のパフォーマンスで
いちばん楽しみにしていた「Shallowシャロウ」。

レディー・ガガとブラッドリー・クーパーの2人は客席より登場。
ブラッドリー・クーパーの歌い出しソロパートは、2人が見つめあって。

ガガはソロパートに入る所で、ピアノの前に移動。
歌い出すと、やはり圧巻の説得力があります。
サビの高音に入るところでは、
会場全体が彼女の声に聴き入っていることがよく分かる静寂さです。
微動だにしない会場に響くガガの声。

クライマックスに向けてより盛り上がり、
最後はブラッドリー・クーパーがガガの隣に座り、
寄り添ってデュエット。
1曲だけですが、胸にずっしりと来るパフォーマンスでした。

ひとつ苦言すると、ガガの髪型がおばあちゃんみたいでした。


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短編実写映画賞は「スキン」。

脚本賞は「グリーンブック」。

脚色賞は「ブラック・クランズマン」。
「ブラック・クランズマン」は、
映画館で予告を見ておもしろそうだなと思っていた映画でした。
スパイク・リーの映画だと知らなかったので、
まだまだ現役バリバリなのがうれしかったです。

作曲賞は「ブラックパンサー」。

そして、歌曲賞は「シャロウ」レディー・ガガ。
涙ぐみながら、「夢をあきらめないで」と語るガガに感激しました。

追悼コーナーで高畑勲監督の写真。

いよいよクライマックス!

主演男優賞はラミ・マレック「ボヘミアン・ラプソディ」。

テレビドラマの「ミスター・ロボット」は全話見ましたが、
あの陰気な兄ちゃんがフレディ・マーキュリーを演じるとは思っていませんでした。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観た時に、
最初は少し違和感がありましたが、
ライブエイドのシーンでは素直に見ることができました。
動きの完コピは見事でした。

主演女優賞はオリヴィア・コールマン「女王陛下のお気に入り」。
苦労人とあってこの人のスピーチは良かったです。

個人的にはメリル・ストリープが居なかった今年こそ、
若干顔が似ているグレン・クローズに取らせてあげたかったです。

監督賞はアルフォンソ・キュアロン監督「ROME/ローマ」。3部門め。

最後の作品賞は、ジュリア・ロバーツがプレゼンター。
鮮やかなピンクのドレスを纏って颯爽と現れた彼女、少し若返った感じです。

作品賞は「グリーンブック」。

日本では3月1日(金)から公開。
作品賞を取ったからスクリーン数が増えるかも?
そうなると、見に行きやすくなりますよね。

さいごに

昨今の社会情勢を受けて、
変わりつつある「アカデミー賞」であったと思います。

作品賞を取った「グリーンブック」は人種問題。

監督賞を始め3部門受賞の「ROMA/ローマ」はメキシコの物語。

その他、ノミネートされた作品や携わる人々なども、
多様性を感じさせるモノになっていると思いました。

数えていませんが、
メチャクチャたくさん出てきたプレゼンターも
半数以上が有色人種でしたから。

ま、いろんなことゴチャゴチャ考えないで、
映画が楽しめればそれで良し!

【映画】「翔んで埼玉」ネタ満載のコメディ映画!※ネタバレ感想

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前日まで「アクアマン」を観ようと思っていましたが、
映画館に行ったら気が変わって「翔んで埼玉」を観てきました。

原作は「パタリロ!」の作者・魔夜峰央が80年代に発表した漫画。

そう言えば、当時は今よりもっと「東京バンザ~イ!」感が強くて、
「住んでるところ」や「乗ってる車」などで、
ディスったりディスられたりが盛んな時代。

タモリが考案したと言われる「ダサいたま」という言葉は、
埼玉を訪れたことの無い人にまで浸透したパワーワードでした。

「ナウい」という言葉は死滅しましたが、
対義語の「ダサい」という言葉が一般に定着したのは、
「ダサいたま」というワードのあと押しもあったと思われます。

あらすじ

埼玉県の農道を、1台のワンボックスカーがある家族を乗せて、
東京に向かって走っている。 カーラジオからは、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」に続き、DJが語る埼玉にまつわる都市伝説が流れ始める――。

その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。 通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていない者は見つかると強制送還されるため、 埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。

東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、 生徒会長として君臨していた。 しかし、アメリカ帰りの転校生・麻実麗(GACKT)の出現により、百美の運命は大きく狂い始める。

麗は実は隠れ埼玉県人で、手形制度撤廃を目指して活動する埼玉解放戦線の主要メンバーだったのだ。 その正体がばれて追われる身となった麗に、百美は地位も未来も投げ捨ててついていく。

2人の逃避行に立ちはだかるのは、埼玉の永遠のライバル・千葉解放戦線の一員であり、壇ノ浦家に使える執事の阿久津翔(伊勢谷友介)だった。 東京を巡る埼玉vs千葉の大抗争が群馬や神奈川、栃木、茨城も巻き込んでいくなか、伝説の埼玉県人・埼玉デューク(京本政樹)に助けられながら、 百美と麗は東京に立ち向かう。果たして埼玉の、さらには関東の、いや日本の未来はどうなるのか――!?

(C)2019映画「翔んで埼玉」製作委員会 公式サイトより

 

主なキャスト

二階堂ふみ  壇ノ浦百美

GACKT          麻美麗

伊勢谷友介  阿久津翔

京本政樹   埼玉デューク

中尾彬    壇ノ浦建造

加藤諒    下川信男

益若つばさ  おかよ

ブラザートム 菅原好海

麻生久美子  菅原真紀

島崎遥香   菅原愛海

ザッツGACKTショー

この映画はキャスティングが見事です。
GACKT無しでは「翔んで埼玉」の映画化は
成功しなかったかもしれません。

前半の学園部分は、「ザッツGACKTショー」の味わいです。

学園漫画にありがちな「トンデモ学園(中世ヨーロッパ風)」に
転校してくる耽美系イケメン。
高校生設定ですから若いイケメンが演じそうですが、
若いと説得力が無いというか、セリフが上滑りしそうです。

二階堂演じる壇ノ浦百美に不意打ちでキスをした時に、
「失礼…、ついアメリカでの習慣が…」なんてセリフ、
GACKTなら本当に言いそうな感じがします。

漫画のキャラに、GACKTのキャラが
乗っかっているからこその演出もありました。

「東京テイスティング」は東京の空気を嗅ぎ分けるゲーム(試験)。
ワインテイスティングをするように、
東京のどこの街の空気かを当てるというまさに格付けチェックでした。

とにかく、このGACKTワールドにすっとハマれると、映画がより楽しめます。

ネタ満載の映画

名前が女性っぽいので分かりにくいですが、
二階堂演じる壇ノ浦百美は男性設定です。

ですから、東京都知事の息子である二階堂が
GACKT演じる麻美に恋をして、
埼玉解放の手助けをする原動力はボーイズラブです。

監督はこのBLを利用して、
GACKTと伊勢谷友介のキスシーンもぶっこんで来ます。
妄想夢オチですが、コメディ映画だからOKという感じで。

あと、埼玉だけでなく千葉や、群馬なんかもひどいディスられ方をされたり、
その他、小ネタを含めてたくさんのネタが満載の「翔んで埼玉」。

制作陣の力がいちばん入っていたと思われるシーンが、
埼玉VS千葉のシーンじゃないでしょうか?
「YOSHIKI(XJAPAN)千葉」VS「高見沢俊彦(アルフィー)埼玉」を
始めとするフラッグ対決は、
大掛かりで大真面目にふざけたことをやるという
コメディ映画の王道を見せてもらいました。

さいごに

未完の原作を上手く膨らませて、
後半部分も面白く作られていました。

二階堂ふみに不満はありませんが、
壇ノ浦百美が本当の男性でも良かったかも?

エンペラー千葉の正体はジャガーさん。

「しらこばと」絵柄の草加せんべいは実在するんですか?

はなわの歌うエンディングテーマも良かったです。

【映画】マスカレード・ホテル レビュー※ネタバレ注意

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「映画のハシゴってやりますか?」

私の場合、3本はさすがに疲れますが、2本連続で見ることはよくあります。
実はこの「マスカレードホテル」は、先日レビューした「七つの会議」のあとに続けて観たんです。

だからでしょうか?
「マスカレードホテル」の方が長く感じました。

両作品ともミステリー要素があって、著名な登場人物がたくさん出演している群像劇。そりゃ、比べちゃいますよね!
上映スケジュールで「七つの会議」→「マスカレードホテル」の順番になったんですが、見る前は「七つの会議」の方が重そうだから、これで良いよね!と思っていました。

あらすじ

都内で起こった3件の殺人事件。

すべての事件現場に残された不可解な数字の羅列から、事件は予告連続殺人として捜査が開始された。警視庁捜査一課のエリート刑事・新田浩介(木村拓哉)は、その数字が次の犯行場所を示していることを解読し、ホテル・コルテシア東京が4番目の犯行場所であることを突き止める。しかし犯人への手がかりは一切不明。そこで警察はコルテシア東京での潜入捜査を決断し、新田がホテルのフロントクラークとして犯人を追うこととなる。

そして、彼の教育係に任命されたのは、コルテシア東京の優秀なフロントクラーク・山崎尚美(長澤まさみ)。

 次々と現れる素性の知れない宿泊客たちを前に、刑事として「犯人逮捕を第一優先」に掲げ、利用客の“仮面”を剥がそうとする新田と、ホテルマンとして「お客様の安全が第一優先」のポリシーから、利用客の“仮面”を守ろうとする尚美はまさに水と油。お互いの立場の違いから幾度となく衝突する新田と尚美だったが、潜入捜査を進める中で、共にプロとしての価値観を理解しあうようになっていき、二人の間には次第に不思議な信頼関係が芽生えていく。

 そんな中、事件は急展開を迎える。追い込まれていく警察とホテル。

 果たして、仮面(マスカレード)を被った犯人の正体とは・・・。

          (C)2019映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 公式サイトより

 

私はホテルミステリーを楽しみにしていた

テレビを見ていると、「マスカレードホテル」のスポットCMが
バンバン流れています。
分割画面で20人位の顔を並べて、
キャッチコピーは「この中に犯人がいる!」
メチャクチャ期待していました。

こういうミステリー大好きなんです。
テレビドラマだと予算の関係で、有名人脇役キャスティングは難しいですが、
映画は規模によって変わります。
この映画の場合、資金は潤沢そうだから、原作未読の私は、フーダニット物(犯人あて)でも充分楽しめると思っていました。

序盤の滑り出しは良かったです。
殺人現場に残された暗号が、未来の殺人現場(ホテル)のみを示唆していて、それ以外のことは分かりません。

ひと癖も二癖もあるゲスト(容疑者候補)が、どんどんホテルに現れます。
いや~、面白そうですよ!

ところが、癖のあるゲストが問題を起こしたり、
怪しかったりしても、みんな問題解決してチェックアウトして帰って行くんです。
これは、ダメでしょ?!
せめて、ホテルには滞在してもらわないと。

同時進行でいろんなことが起きていて、それがミスリードになったりするのが、ホテルという限定空間ミステリーの醍醐味なんじゃないかと思います。

連続殺人の謎はなかなか進展しない

中盤はホテルゲストのネタと、その処理に演出のパワーが向けられている感じで、
連続殺人の謎解きはそんなに進展しません。
木村が推理をひらめき、捜査助手的刑事の小日向文世に伝える。
小日向も序盤から出ていますが、前半はあまり活かされてないというか、
後半になってから怒涛の活躍ポジションです。
(※一緒に観たカミさんは、小日向さんが犯人かも?と思っていたそうです。)

結局、犯人は再びホテルに現われた人だったわけですが、
だったら、もう少しフックがあっても良かったような気がします。
「この中に犯人がいる!」というミステリーとしては、
鑑賞後のモヤモヤ感が残りました。

主演 木村拓哉 長澤まさみ

刑事の木村拓哉とホテルマンの長澤まさみは、良かったと思います。
二人とも立ち姿がキレイでした。
潜入捜査官として嫌々ホテルマンをやっている木村拓哉と、
キッチリしたホテルマンの長澤まさみ。
互いの立場から衝突するものの、相手のことを信頼し関係性が変化して行く様子は、
バディ物の定番ですが良かったです。

そういう成長物語として観れば、悪くないかもしれません。

 

【映画】七つの会議 レビュー ※ネタバレ注意

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「わざわざ映画館の大スクリーンで見るべき映画なのか?」

映画を観る時によく言われることである。
特に、テレビ局の影響が色濃い映画は、そう揶揄されることが多い。

「七つの会議」は、TBSの福澤克維監督と作家・池井戸潤コンビによる
ヒットドラマの延長線上に位置する映画である。
それでも、私は思う。

「七つの会議は映画館の大スクリーンで見るべきだ!」

但し、「半沢直樹」や「下町ロケット」など、福澤監督の作品を見たことの無い人にはあまりピンとこないかも知れない。

なぜなら「七つの会議」は、「顔芸格闘選手権大会」を楽しむ映画だからだ。 

あらすじ

都内にある中堅メーカー・東京建電。営業一課の万年係長・八角民夫(野村萬斎)はどこの会社にもいる、所謂“ぐうたら社員”。

トップセールスマンである課長・坂戸宣彦(片岡愛之助)からは

その怠惰ぶりを叱責されるが、ノルマも最低限しか果たさず、

定例の営業会議では傍観しているのみ。

絶対的な存在の営業部長・北川誠(香川照之)が進める結果主義の方針の元で部員が寝る間を惜しんで働く中、一人飄々と日々を送っていた。

ある日突然、社内で起こった坂戸のパワハラ騒動。そして、下された異動処分。訴えた当事者は年上の部下、八角だった。

北川の信頼も厚いエース・坂戸に対するパワハラ委員会の不可解な裁定に揺れる社員たち。

そんな中、万年二番手に甘んじてきた原島万二(及川光博)が新課長として着任する。会社の“顔”である一課で、成績を上げられず、場違いすら感じる原島。

誰しもが経験するサラリーマンとしての戦いと葛藤。

だが、そこには想像を絶する秘密と闇が隠されていた・・・。

         (C)2019映画「七つの会議」製作委員会 公式HPより

選手(キャスト)紹介

野村萬斎 
福田組初参加。一見、無表情だが相手を追い込む険しい顔が、主役なのにメッチャ悪人顔。

香川照之 
常連、悪役上等の顔芸チャンピオン。この人無しでは大会が成り立たない。

及川光博
今回は良い人設定なので悪人顔は無かったが、困った顔やおとぼけ顔などを披露。

片岡愛之助
前半に失脚するまで、部下を叱責する怒り顔を発揮。ただ、今回は被害者的な側面もあったので、愛之助氏が得意とする悪だくみ顔が見られなかったのが残念。

藤森慎吾
役が凄くハマっていた。顔芸も良かったが個人的には、あと2割増しぐらい協調しても良かったと思う。

岡田浩暉
福田組小悪党担当。登場から左遷されるまで一貫して悪人顔。

鹿賀丈史
舞台出身で存在感ありまくりの顔立ち。そんなに作らなくても怖い顔が出来る。

北大路欣也
ストーリー上の最高権力者。顔芸というよりは、顔面力の圧が凄い。

その他、役所広司、立川談春、春風亭昇太、音尾琢真など福田組に縁のある俳優が、たくさん出演している。

そんな濃い~い面々が、とにかくこれでもか!って感じで顔芸を繰り広げる。
スクリーンに大きく映し出される顔は、女優さんだったら嫌がる位のどアップだ!
大スクリーンで観ると、悪人顔がより醜悪に見えたり、
香川照之の素晴らしい表情筋の動きに感心できる。

今回の「顔芸格闘選手権大会」のチャンピオンだが、
やはり香川照之の防衛だろう。
最後の御前会議で追い込まれた時の鹿賀丈史や、立川談春を追い詰める野村萬斎、
ドーナツ泥棒の藤森慎吾なども良かったが、香川照之の号泣シーンにやられた。

香川は部下の叱責シーンや不正がバレそうなシーンの顔芸も見事だったが、
物語の後半、自室でひとり号泣する顔芸は
「ズルい!」としか言いようがない。(褒めてます)

顔芸のことばかり書いているが、ストーリーや構成も充分楽しめた。

 

 「七つの会議」は企業時代劇

企業の不正や隠ぺいなど現代社会のリアルや、
組織の論理や上司の無責任などのサラリーマンあるあるを
ストーリーに組み入れた「七つの会議」。
顔芸やたっぷりと溜めのあるセリフまわしが大仰で、時代劇チックである。
それが良い。こんな話、非現実っぽく作らないとやり切れない。

ただ、勧善懲悪パターンで9割方正義が成されたエンディング、
野村萬斎演じる主人公は「組織の不正は無くならない。でも、不正が少なくなれば…」と言う。
この辺りのさじ加減が絶妙だ。大げさな時代劇を見せられたのに観客は、
現実社会を捉えた映画を観たような気にもなれる。

「七つの会議」は、ミステリーとしても楽しめた。
野村萬斎演じるグータラ社員の謎や、会社を巡る不穏な空気。
探偵役の及川光博と朝倉あきが、途中まで観客目線で謎解きに挑む。
この二人のポンコツぶりが、ほのぼのとしていて良かった。
黒幕に関するミスリードには、まんまとだまされた。

また、登場人物がそれぞれの立場で、モノローグを語りながらシーンを展開していくという手法は、あり手ではあるが、物語のテンポとして良かった。

福澤作品のファンじゃなくても楽しめる作品であると思う。